佐渡の美味い酒、美味いモンを「私、熱燗小僧」がお届けします ただし、二十歳に満たない方へお酒は売りません

日本酒が嫌われる三大原因とその解決策

でもその前に、私はこんな事を思うております。
(ちょっと長くなってしまいました。
お急ぎの方は其の一から其の三のそれぞれ最後の


 結論: 

の所をお読みください。それでは)


「そんなに搾りたてや新酒の状態が美味しいと皆さん本当に思いますか?
感じておりますか?」
「もしかしたら、単にマスコミに振り回されとるだけではないですか?」
と。
鮮度が命と言い切るビールメーカーのコマーシャルを観れば「そうだな」
と思うたり、華やかな香りを放つ日本酒を冷たく
冷やしてグラスで飲む
スタイルのコマーシャルがお洒落でカッコイイと思えてしまい、それが
美味しいの味方なんだ。
と。
コレが正にメディアの力です。

日本酒は伝統的な日本の発酵食品です。

発酵と腐敗は紙一重…
体に良い影響を及ぼす物を造りだす変化が発酵で悪影響・害になる物を造
りだしてしまう変化が腐敗です。
でも、体に良くて更に美味しい物に仕上げようとするとかなりの技術が必
要とされるようです。
なかなか、本題に入れなくて困った。

今の日本酒の消費事情は高度経済成長の時期に遡ると考えられます。
昭和30年代後半からその後四半世紀にかけての頃です。
インスタント食品・レトルト食品と呼ばれる物が考え出され、全てが
即席で間に合わせ、忙しいお母さん方にはありがたかったでしょうが実は
コレがに発酵食品の一つ日本酒の造り方味わい方にも多きは影響を及ぼした
と考えられます。
そろそろ本題へ────────────────



其の一
「日本酒を飲んだ次の日は必ず二日酔いになると聞くから嫌い」


二日酔いになる原因のとして飲み方と中身が関係すると考えられます。

どんな良い酒だってビールやチューハイのような調子でグイグイ飲んだ
らそりゃーやられてしまいます。アルコール度数が3倍も違いますから。
まして、冷やでやったり冷して飲む事がお洒落とされる今の飲み方でや
りますと腰が立たなくなる訳です。体内に入ったアルコールは体温と同
じになってから吸収されますから、冷たいまんま勢いよく飲んでしまう
と、初めのうちは酔わないですが気が付いた時には大量にアルコールが
吸収されてしまい、一気に酔いが回ってしまう事に。で、目はグルグル
呼吸はハアハアそして…リバース。

その点、お燗を料理と一緒にやりますとアルコールは体温と同じになっ
ておりますから、直ぐに体内に吸収されるため早く酔いを感じペースも
量も控えめになっていきます。結果的に酔い覚めも早く次の日の影響も
少なくて済むわけです。
ただ、まぜ混ぜ物の多い安い酒を扱う居酒屋などで燗酒を飲んでもねー。
だから冷やのまんまという事になるのかも知れません。
混ぜ物の多い酒とはラベルの原材料名の所に米・米麹以外の物が書いて
ある酒です。米と麹で造る酒だから日本人の体に自然に入っていき、自
然に出ていくわけでしてそれ以外の物はヤッパリ日本人の体には合わな
いと考えられます。

ただ、混ぜ物をせざるを得ない時代も戦後の米が無い時代にはあったそ
うです。混ぜ物をする事で日本酒を絶滅の危機から救ったとも言えるの
かも知れません。
今は、米は十分にありますから米だけを原材料として使った日本伝統の
酒を身体のために温めて飲む習慣を身に着けていきたいです。
その際、お燗して美味しい酒を飲むようにしましょう。
美味しい美味しくないは飲む人それぞれの好みですから一概には言えま
せんから、ぜひご自分で探してみてください。



結論:
自らの許容範囲を超えればどんな酒でも二日酔いになってしまいます。
自分の適量を知り、燗酒をチビチビと楽しむ習慣を持ちましょう。




其の二
「口もとに持ってくると
   アルコール臭がツンツンきて飲みにくいから嫌い」


これまた二つの原因が考えられます。
一つは酒の造り方の問題、
もう一つは前置きで述べました出来たてが一番という今の風潮がそうさせ
ているものと考えられます。
一つ目、「造り方」では発酵して出来上がった酒に更に醸造アルコールと
いう焼酎を足してしまうことにより単純にアルコール臭が鼻を突くという
事です。

発酵途中の酒にアルコールを入れて発酵を終わらせて搾ること。
本醸造という造り方があてはまります。でも、コレは考え方次第ではどん
な中途半端な造り方であってもアルコールを足せば何とか酒になるという、
危険な考え方でもあります。

そしてもう一つが「出来たて至上主義」とでも言いましょうか搾りたての
生酒や春先に発売される「出来たての酒は美味しいモノだ」と謳う大手の
メーカーのコマーシャルが大きな影響を与えているように思います。
日本酒は微生物の発酵によって造られるものです。これは酒以外の発酵食
品と同じようにある程度の時間・期間を置くことで美味しくなるものです。
所謂、熟成です。

最近の日本食もヤッパリ出来たてが多くなってきたように思います。日本
酒も出来たてが美味しい物と決めてしまえば、造って直ぐ売れてお金も回
収できるから造る側も売る側も有難いという事なのかも知れません。

ちょっと寂しい事ですが。



結論:
熟成というものを考えた時、分かりやすいのがワインやウイスキーです。
ぶどうを収穫した年や何年樽にねかせたかが書かれてあるワインやウイス
キーはちゃんと認められております。日本酒に造られた年度は明記してあ
るラベルも最近は見受けられますんで、3年くらい寝かせた物を試してみ
るのが良いかも知れません。勿論、もっと寝かせた酒もありますよ。




其の三
「最近流行りの酒は香水みたいな香りが鼻を突くから嫌い」


この言葉は「人生のベテラン」の方からいただきました。
「確かにそうだよなー」と思うばかりです。
こういう酒は食べながら飲むというよりは、その酒だけで小さなクラスで
冷やしてすこーしだけ飲むとか。お祝いの席宴席などで乾杯の時の酒とし
て飲まれる事を目的に造られた酒になりますね。

他には鑑評会という酒造りの技術を競う為の競技用に造られた酒でしょう。
これは出品される多くの酒の中からどれだけ目立つことが出来るかが勝負
ですから、とにかく華やかな香りで飲む前から目立って口に入ってからも
目立って飲み込んだ後もしっかりと目立たなければならない訳ですから、
それはそれで大変な事だと思います。また、その技術はとても高いレベル
に達していることと思われます。
世の中にはこういう酒もあるんだという事を知っておくくらいで良いかと
思います。



結論:
人生のベテランさんは、そのほとんどの目的が晩酌、一日お疲れさんでし
た。と、自分で自分を労う一杯を楽しみにしておる訳ですから金額的には
どうでしょうか、一升瓶で3000円以下くらいの少し熟成した純米酒をお燗
で一杯か二杯やっていただければと思うところです。




以上
書いてみました